>> 08/24 >> 農業王国、万歳。
バスティーユの我が家の前は、週に2日マルシェになる。いつもは静かな並木道が、出店でぎっしり。木曜と日曜は、窓の外から聞こえる賑やかな音が目覚まし代わりだ。 子供のころ、日曜日になると意味もなくワクワクした、あのときの感覚がよみがえる。
マルシェと言ってもパリでは午後までたっぷり開いているので、朝イチバンで行っても閑散として、拍子ぬけしてしまうかもしれない。お昼を挟んだ11:00~13:00がピーク。とくに日曜日は、出店の数も買い物客の数も増え、細い通路はあっというまに押し合いになる。私の場合、玄関を出てすぐ目の前がマルシェなので、早起きして混雑を避けることもできるのだけれど、ガヤガヤした雰囲気を味わいたくて、タイミングを見計らう。
さすが農業王国フランス、野菜の種類ははんぱじゃない。そして、どれもちゃんと野菜の味がする。ジャガイモがこんなに甘かったとは知らなかった。日本のスーパーで買う野菜とは格が違いすぎる。しかも、キロ売りなのでどれも安い。おかげで、スーパーで野菜を買う機会がめっきり減った。
マルシェで学んだルールは、「クオリティは自分で決める」。山のように積まれた野菜やフルーツの中から、どれを選ぶかは結局自分。だから、どれが熟れていてどれが食べごろか、見極める「目」を持っていないといけない。どれだけ安く買ったかではなく、どれだけいいものを選んだか、によって、その日の成果が測られる。このあたりが、アジアのマーケットとは違う。
「朝ごはんは、マルシェで買ったパンを食べよう」と出かけたつもりが、ついつい買いすぎて、いつのまにかランチの時間。窓の外でつづく喧噪に耳を傾けながら、キッチンで料理するのが、週末のひそかな贅沢だ。
>> 08/23 >> 16区。
高級住宅地として名高い16区。これという観光名所がないので、なかなか足を運ぶ機会もないのだけれど、実はエッフェル塔から結構近い。そのわりには観光客の姿が少ないので、一気に郊外にきた気分になる。
シャン・ド・マルスを出て10分も歩けば、メトロのモット・ピケ駅に到着。この一帯は、メトロが地下から地上に出て、高架の上を走っている。この風景も、郊外モードをかきたてる。
NYや東京もそうだけれど、大都市を旅行すると、「そこでしか見られないもの」「そこにしかないもの」を求めるあまり、ついつい世界遺産の建物やランドマークばかり追いかけてしまう。パリではそれが、エッフェル塔だったり、ルーヴルだったり、凱旋門だったり。それはそれで悪くはないし、短い滞在ではしかたがないことかもしれない。でも、もし街のキャラクターを作るのがそこに住む人々であるならば、彼らが生活するエリアにこそ、その街のエッセンスが潜んでいるのではないか、とも思う。
雑誌やTVで見た風景にあこがれて、飛行機に乗って現地に来て、ガイドブックの写真を確認するだけでは、せっかくのバケーションがもったいない。観光名所からほんの少し脇道にそれるだけで、もう少し深く、その街を知ることができるのだから。
>> 08/21 >> マレの隠れ家
ご存じのとおり、マレはトレンド発信地。でも、この地区の面白いところはショッピングspreeだけじゃない。マレはパリの中でも、17世紀・18世紀の建物がそのままの形で残っているエリア。歴史的建造物に認定されている建物も多い。
カルナヴァル博物館は、そんなマレの歴史をひしひしと感じられる場所。ピカソやマティスといった有名な絵画はないけれど、17世紀~19世紀ごろのパリの様子を肌で感じられる、「生きたミュージアム」なのだ。
もともと貴族の館だった建物は、それ自体が歴史的建造物に認定されている。室内には当時の家具や調度品や美術品の数々が飾られ、一瞬にして貴族の生活にタイムスリップできる。外観からは想像できないほど、驚くほど内部は広くて、じっくり見ているとあっという間に2~3時間はたってしまう。
小さいけれど、渦巻き状に刈り込んだ植木の中庭も素敵。
時間がないときは、グランドフロアだけでものぞいてみる。ここには、かつてパリの町を飾った「お店の看板」や「ステンドグラス」などが飾られている。たかが看板なのに、細かい装飾が施されていたり、造形がユニークだったり。どれもelaboratedで、ひとつひとつに職人技や美意識が息づいているのが分かる。
レース編みのような、バルコニーの鉄柵。 | |
しかもこれらはすべて常設展で、入場無料。だから、ショッピングの合間や散歩の途中に立ち寄れるのがうれしい。ショッピングという世俗的な行為のあと、カルナヴァル博物館でのcultural体験。買い物しすぎたguiltyを埋めるのにも、ちょうどいい(^^)
>> 08/18 >> SIMPLEのタルティーヌ。
はるばる出かけてでも食べに来たい「SIMPLE」。アンヴァリッドから16区のほうへ、St. Dominiqueを歩いてゆくと見つかる。
メニューはタルティーヌだけというシンプルなお店。タルティーヌというのは、ようするにオープンサンドイッチのこと。SIMPLEとはいえ、タルティーヌだけで十数種類もある。
ここに目をつけたのは、パリで幻といわれるブーランジェリー:プージョランのパンを使っているから。プージョランについては、日本の雑誌でもいくつか紹介されているので詳細は省くけれど、レストランへの卸業だけで店頭販売はしていない。しかも卸しているレストランはほとんどが星つき。そんなわけで、一人パリの私には無理かなあ、と半分あきらめていた。でもSIMPLEなら、お財布的にも行けるではないか!!
オーナーとおぼしきお兄さんが、カウンターでパンをスライスして、野菜やハムやチーズを切って並べて、トーストして、サラダを盛り付けて・・・その手際のよさったら!無造作にハーブを振りかけているようで、実はまんべんなく、適量に散らされている。すべての動きがpricise。「テキパキ」という言葉がぴったりくる。
トマトとタプナードのタルティーヌ。あまりにも美味しそうなので、写真を撮る前に先走ってしまった(^^:)実際、おかわりしたくなるほど美味しい!プージョランのパン、という先行詞を抜きにしても、もう1度食べたくなる。
パンにこだわりがあるせいか、タルティーヌ以外にも、ハンドメイドのジャムもこれまた美味。お砂糖を極力加えないナチュラル系で、パリにしては珍しい。大ぶりなガラスの瓶に、フロマージュブランと一緒に盛られて出てくる。
エッフェル塔から散歩圏内なので、天気のいい日はテイクアウトして、Champ de Marsの芝生で食べるのも気持ちよさそう。SIMPLEなタルティーヌがもたらす、リッチな午後だ。