>> 08/10 >> シャロンヌの「扉」を開けて
バスティーユに住んでよかったなあと思うのは、シャロンヌ通りを通るとき。ここの住人は、フランス語ができない私にも優しい笑みを返してくれる。
パリのトレンドエリアはつねに変化していて、この前まで(そして今もまだ)ピークだったのが、ここ。ちょうどヴァカンスシーズンなのでお店のほとんどは閉まっているけれど、のぞいてみたくなる雑貨屋や、コミック専門店、インテリアにこだわったカフェなどが並んでいる。東京で言うと、代官山に似ているかも。
そんな若者のカルティエで、歴史あるレストランがLes Portes。
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フランス語で「扉」という名前のとおり、お店のシンボルは18世紀から残るアンティークの扉。扉はいまは使われていないようだけれど、黒木の梁の天井など、店内のつくりは当時のまま。JAZZバーちっくなインテリアもおしゃれ。とにかく、めちゃくちゃ居心地がいいのだ!
カフェが多いシャロンヌ通りにしては珍しく、ロティスリー=肉料理がメイン。夜は雰囲気がよすぎて一人で入るには勇気がいるので、ランチに立ち寄ってみた。
「カモのグリルとマッシュルームの森を、シルヴプレ」。
カモ肉から出る脂が、絶好のソース。それは、肉の下に敷き詰められたマッシュルームの森にも、しっかり浸みこんでいる。お腹がいっぱいになるのはわかっているけれど、バゲットを浸さずにはいられない!!
もっと美味しいお店もあるんだろうけど、この雰囲気と"扉"の歴史が、料理をさらに特別なものにしてくれる。しかも、バスティーユ価格なのがうれしい!シャロンヌ通りおそるべし。
>> 08/09 >> パリのBest Sunset
朝焼けはバスティーユの我が家から見る光景が一番。では夕暮れは??
私の答えは、12区・国立図書館。
ゴシックやバロック建築が多いパリだけど、近未来的な現代建築もある。12区は、ミッテランかつてスラムだったのが都市開発によってイメージアップした場所。他のカルティエではなかなか見られない、ガラスや鉄筋の建物がたくさん並んでいる。国立図書館は、そんな12区を象徴する現代のモニュメント。
日本の雑誌にも取り上げられたが、たいてい「本を開いたような形をしている」と書かれている。実際に見るまではそれがどんな形状なのか、いまいちピンとこなかったけれど、実物を見て納得。"カギカッコ「"のような形をした建物が4つ、向かい合うように立っている。
夕暮れどきには、西陽をうけて、神々しい。まるで、図書館内で勉学に励んでいる人々を称えているかのよう。
図書館からセーヌ川を超えた、ベルシー公園もお気に入りのひとつ。この公園については、また後ほど。
>> 08/07 >> リュクサンブールで恋におちて
パリに着いてまもないころ、いつものように街をさまよっていたら、リュクサンブール公園にたどりついた。そして、私はリュクサンブールにfall in loveしてしまった。
パリに公園はたくさんあるけれど、リュクサンブールは特別。散歩して疲れるほど広すぎず、園内には美術館があってアートの香りも漂っている。なにしろ元貴族の邸宅なので、絵に描いたような麗しさなのだ。
ガイドブック的にはカルチェラタンからのアクセスが一般的らしい(そのほうが、園内にある美術館に近い)けれど、個人的にはモンパルナスやポート・ロワイヤルからゆくほうが断然いい。なぜかといえば、ひとえにこの光景が見たいから。
きれいに刈り込まれた並木道の向こうに、すっと背筋をのばした貴婦人。奥にたどりつくまで相当歩くことにはなるけれど、この長いパッセージを歩いて行くうちに、少しずつ心が穏やかになってゆくプロセスがいい。プリンセスとの謁見を許された男爵のように、石膏像に見守られながら徐々に歩みよる。まるで何かの儀式のように。
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噴水では、船をうかべて遊ぶ子供たち。時間を忘れて語らう恋人たち。鮮やかな緑の木々の向こうでは、ペタンクの球がぶつかる音がする。ここでは、過去と現在の境界線がすっかり溶けてしまっている。「週末ちょっと立ち寄る」公園がリュクサンブールだなんて、パリジャンはなんて贅沢なんだろう。
夏期限定のイベントで、モダンアートのオブジェも展示されていた。西洋建築美というバックグラウンドで、現代のアヴァンギャルドたちも「気品」のようなものを帯びている。
少しでもリュクサンブールの近くにいたくて、部屋探しをしていたときは絶対モンパルナス、と決めていたけれど、なかなかいい物件がなくて泣く泣く断念。でも、ちょっと心が疲れたときは、メトロに乗ってここに訪れるようにしている。
>> 08/05 >> バスティーユの夜明け
いま私が住んでいるのは、バスティーユに程近いエリア。窓が東向きなのと、フランス式5階(しかもエレベーター付!奇跡的!!)なので、朝起きて最初に目に飛び込んでくるのは、うっとりするような明け方の空。
決して加工してません。本当にこんな色なのです。印象派みたいでしょ。
パリ20区内は高いビルがほとんどないから、こうした風景が可能なのかも。こんな贅沢な朝を迎えられるパリが、好きです。
>> 08/04 >> さすが美食の国、なブックストア
アパルトマン探しをしていたので、物件めぐりをするうちに、結果的にパリ中を歩きまわることに。おかげで、観光地ではなかなかお目にかかれない、素顔のパリ風景を目にすることができた。ガイドブックでは1枚しか書かれていない小さなカルティエも、歩いてみると意外と面白い。とくに私の場合、土地から受けるインスピレーションで行き先を決めてしまう癖があるので、うっかりしていると真逆の方向に歩いていた、なんていうことは日常茶飯事。そこが楽しいんだけど。
そんなふうに迷いながら出くわしたのが、Librairie Gourmande。ネーミングから察しがつく通り、「食」にまつわる本を集めたお店。偶然見つけただけに、詳しいロケーションは?だけど、たしかLes Hallesから少し歩いたところだったような・・・。
壁一面に並べられているのは、ぜーんぶ料理に関する本ばかり!家庭用の料理本から、カリスマシェフのレシピ集、ちょっと難しそうな学術書etc... しかも、フランス語だけじゃなく、英語や日本語(!)の本もあった!
フランスだけに、ワイン関連のコーナーは充実している。 | |
フランス語が読めなくても、料理好きな人は眺めているだけで時間を忘れてしまうに違いない。私もそうとうウットリしていたのか、お店のマダムが話しかけてきた。「この本はね・・・」「分子料理法に興味があるなら、この本がおすすめよ」てな具合に、英語と織り交ぜて丁寧にレクチャーしてくれた。この人、本当にお料理が大好きなんだ。
うっかりすると見逃してしまいそうなくらいpetitで、決して派手ではないけれど、とっても居心地がよい本屋さん。マダムの情熱にのせられて、1冊お買い上げ。エルヴェ・ティスと交流の深い、スイスの天才シェフ、Denis Martinのレシピ本。フランス語はともかく、写真を見るだけでも彼女の言葉にウソがないことはよくわかる。よし、ここは辞書を片手にがんばるか! 読み終わったら、お礼をかねてまた行ってみよう。その時までに、もうちょっとフランス語が話せるようにならなくちゃ。