>> 03/29>> Paris in Bloom
夕方5時のサクレクール今日から夏時間になった。
春になって日が長くなっていたところへ、さらに1時間 時計が早くなったものだから、感覚的にはいままでより3時間近く時差があるような気がする。夜7時を過ぎても、まだ太陽は沈まないのだから!夕方5時には真っ暗になっていた冬を思えば、なんてうれしい季節だろう!
冬場はがらんとしていた公園にも、大勢の人が集まるようになった。芝生に寝ころぶ姿も多く見かける。ポンヌフのたもとにある遊歩道は若者があふれ、にぎやかな夏場を思わせる。
サンマルタン運河にも。
そもそも、パリの人々は生活リズムが遅い。午後といったら文字通り「apres midi=お昼過ぎ」のことで、ランチを食べたあとの時間帯のこと。仕事が終わったらゆっくりアペリティフを楽しんで、ディナーが始まるのはだいたい夜8時。サマータイムで、彼らの活動時間はさらに長く、遅くなる。
これだけ陽がさしていると、まっすぐ帰るのがもったいない。メトロに乗るのをためらい、家々の建物が夕日で淡く照らされるのを眺めながら徒歩で帰る。帰宅時間が遅くなっても、気にするものか。
>> 03/25>> ルクサンブールでお花見
パリ市内には意外と桜の樹がたくさんあって驚く。桜は日本にしかないと思っていたら大間違いで、「フランスにだって桜はあるのよ」と、パリっ子たちに諭される。
それでも、淡いピンクの花びらからはかなさを感じたり、ときには切ないほど胸がきゅんとするのは、日本人特有の感情だと思う。
今日はルクサンブールの桜で、一人お花見。いつものランチと変わらないのに、桜があるだけで心が満たされる。あらためて、自分が日本人であることをつくづく感じる。
よくみると花びらが風に舞い、ずいぶん散りかけている。
パリでも、桜の命はやっぱりはかない。
>> 03/23>> ブランクーシと対話
ポンピドゥセンターは知っていても、その隣にあるアトリエ・ブランクーシに行ったことがある人は少ないのではないだろうか。
フランスを代表する彫刻家:ブランクーシは、モンパルナスにアトリエを構えていた。空間と作品の相互関係を重んじた彼は、独自の哲学とこだわりをもって、アトリエ内に各作品を配置した。そのバランスが崩れることを恐れて、作品を売ることすら躊躇したという。
そのアトリエを再現したのが、アトリエ・ブランクーシ。再現、とはいっても、ブランクーシの創作活動を垣間見る場所ではない。彼の哲学にしたがってレイアウトされた作品の群れ、彼が望んだ「最高の状態での作品鑑賞」を、体験する場所だ。
ガラスの向こうはモンパルナス。ブランクーシは素材の力を重視していたそうで、型抜による彫像をよしとせず、とことん磨き上げることによって成型していたそうだ。流れるようなoiseauの曲線を、天窓から差し込む陽光がやさしくなぞる。
美術館で見るのとは違い、ここでは作品と対話している気分になる。これこそブランクーシの意図したことだろう。ベンチに腰掛け、ガラスの向こうに佇む彫刻たちを眺めていると、時間が経つのも忘れてしまう。
きっと太陽が傾く夕暮れには、陽の差し込み方も変わって、彫刻の見え方も変わるに違いない。次はどんな対話ができるのか。明日もまた訪ねてみよう。