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NO WAY TO STOP MY STEPS.
EVERY TINY THING ENCHANTS ME.
STILL CHARMED IN THE DREAM.


updated: 2009-04-28

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>> 12/31>> 2009、エッフェル塔、New Year's Resolution

DSCN8476.JPG私のパリの滞在は7月14日・革命記念日のエッフェル塔から始まった。だとすれば2009年の幕開けを迎えるのに、エッフェル塔ほどふさわしい場所はないだろう。寒さに備えて、コート2枚重ねで向かう。

トロカデロ付近の混雑を予想して、モット・ピケからシャン・ド・マルスへ。23時をすでに回っていたけれど、意外と閑散としていてびっくりした。革命記念日のときは、公園中が満員電車状態だったのに。それでもわざわざキャンピングカーでやってくる人もいる。年が変わる瞬間にそなえて、誰もがシャンパーニュのボトルを抱えている。

カウントダウンの前触れはいっさいなく、いつものように正時を迎えると同時に、エッフェル塔が瞬きはじめる。おおっという小さな歓声があがる。7月14日のような大きな花火はない。近くで誰かが、市販の打ち上げ花火を鳴らす程度だ。ボトルの栓を開ける音がし、あちこちから「Bonne Annee!」という歓声が聞こえてくる。

カメラのシャッターを切っているうちに、 ふとあることに気づく。
2008年は、フランスがEU議長国をつとめた関係でブルーに染められていたエッフェル塔が、星のまたたきと共に、少しずつ青いドレスを脱いでゆく。

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いつのまにか、本来のゴールドの姿が現われていた。

見知らぬ人々にBonne Anneeと声をかけられながら、心の奥に、新年の抱負が漠然とわきおこるのを感じる。
変化の1年を終えたエッフェル塔に、自分の姿を重ねながら。

>> 12/28>> 冬の情景


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クリスマスを過ぎてから、パリはぐんと冷え込んでいる。温度計の目盛りも、ゼロのラインからなかなか上がろうとしてくれない。ティエルリー公園の噴水は、氷の舞台と化していた。行き場を失ったカモメたちが、ツーリストが投げ入れたパンクズを申し訳程度につつく。

それでも、どんなに寒かろうと観光客の数がまったく減らないのが、パリ。ホリデイシーズンで地元パリっ子たちは姿を消してしまっても、セーヌ川には相変わらず遊覧船が通っているし、エッフェル塔の前には観光バスの大軍が並ぶ。ただし年末休暇で閉まっているお店も多いので、ショッピング三昧とはいかない。夏のバカンスのときなら、何もすることがなくてもぶらぶら散歩して過ごせたけれど、冬のパリは恐ろしいほど「絵にならない」。行き場のなくなった観光客は、仕方なくミュゼの前に行列を作る。その光景が、氷の張ったティエルリーに集まる鳥たちの姿に重なるようで、なんとなくもの哀しい。DSCN8397.JPG

パリの年末は、思っていた以上に静かだ。

>> 12/20>> オルセー・コード:61-66

DSCN5254.JPGオルセー美術館はルーヴルに並ぶ人気観光スポットで、いつ行っても大勢の行列ができていて、それだけでも辟易してしまうのだが、さらに美術館の作り自体があまり好きではなく、エントランスが開放的なのはいいけれど、どうも落ち着いて作品と対峙することができなくて、展示室が迷路のように入り組んでいるし、まぁ私が訪れた日が偶然アメリカの美術学校の生徒たちのツアーと重なって混雑していたからかもしれないが、それでもやっぱり馴染めない。ロダンの「地獄の門」には胸を打たれたけれど。

私のオルセーのお気に入りは1階奥、アールヌーヴォに特化したセクション。ギマールやエミール・ガレの世界がごっそり眠る、秘密の場所。アールヌーヴォ様式のアパルトマンをまるごと再現した部屋もある。美術館の中でも隅のほうに位置しているので、混雑にまどわされることなくどっぷり浸れるのがまたいい。

DSCN5263.JPGロココの流麗さは残しながら、過剰な装飾をそぎ落とし、代わりに単純な曲線の集合体で装飾をほどこす。シンプルな形状が、劇的な効果を与える。家具に、ランプに、食器に、そして部屋全体に。それは決して機能的ではないけれど、「生活に不必要な美しいもの」こそが生活を豊かにする、ということを改めて思い知らせる。

パリのアールヌーヴォといえば、ギマール設計のメトロのエントランスが有名。こいつを毎日のように目にしているからか、パリで暮らすようになって以来アールヌーヴォに敏感になっている。前にブルッセルでビクトール・オルタの邸宅を訪れたときは、それほど気にも留めていなかったのに。ぐにゃりとひしゃげた曲線を眺めているうちに、そういえば子どものころお絵かきに熱中していた私は、よくあんな曲線を描いていたな、とふと思い出す。美しいものを美しいと感じられる余裕が、まだ自分に残っていることに安心する。

魔法のような時間を過ごした、オルセー美術館・展示室61~66番。この数字を勝手に「オルセー・コード」と呼ぶことにしよう。

>> 12/19>> 写真のチカラ

DSCN7037.JPG久しぶりに、ギミックのないストレートなフォトグラフィを見た。

ヨーロッパ写真館:Maison Europeen de la Photograpieで開かれていた、Sabine Weissの展示。半世紀にわたって世界を旅してきた彼女が、それぞれの場所で出会った人々の写真。政治とかモードとか技法とか、そういう枠を超えた写真。ルポルタージュではないのに、強いメッセージを声高に叫んでいるような写真。
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Je cache ma timidité et mes scrupules derriere mon objectif.
J'aime l'attente que les choses vienne à ma rencontre,
que l'evenement est moi même nous retourvions à mi-chemin.

偶然のなかから、街の表情を瞬間的にとらえる。
旅をする理由は、これだけで十分だ。

>> 12/16>> ドラクロワさんちの中庭

サンジェルマン教会をぐるっと回ったとたん、大通りの喧騒はうそのように消え去って、別荘地のような静寂と、一等地ならではの気品が漂う。ドラクロワが晩年を過ごし、息を引き取った屋敷がある場所。いまはドラクロワ美術館として一般公開されている。
個人の邸宅だから、看板らしい看板もなく、ともすると見過ごしてしまいそうだ。上流階級のお宅に招かれたような気分で、ふぅっと息を吐いてから階段をあがる。

旧宅といっても、内部はほとんど綺麗に改装されていて、かろうじて残された調度品から、かすかに彼の息吹きを感じられる程度。ドラクロワの面影を探すのは容易ではない。ただひとつ、中庭をのぞいて。

DSCN6563.JPGリビングとアトリエに挟まれた空間。隣接する家々とは石塀でへだたれ、ひときわ静けさが増す。ぽつんぽつん、と無造作に置かれた椅子。頭上に張り巡らされた大樹の枝からは、真っ白い冬空が広がる。夏であれば、枝は緑の葉をたたえ、格好の木陰をつくるのだろう。朝には小鳥たちのさえずりとともに、陽光が庭を淡く満たしてゆくのだろう。この庭は、美のインスピレーションには事欠かない。

かつての巨匠はここで日がな絵筆を走らせ、ときおり仕事の手を休めにアトリエから庭におりては、どこからか吹き込む風に汗がひくのを感じながら、レモネードをぐいと飲み干して、ふたたびキャンバスに没頭したのだろうか。あるいは、画家仲間たちとここで談笑し、ときには議論を繰り広げ、長い夏の宵を過ごしたのだろうか。

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ドラクロワが最期を迎えた部屋も、この庭に面している。彼は病と闘いながら、死の寸前まで精力的に創作活動に打ち込んだ。それができたのも、この中庭があったからではないだろうか。

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パリ、12月

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マレの隠れ家
磯の香り、煙の薫り
白のむこう

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カフェの時間ですよ
twinkle twinkle

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bienvenue gambetta

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ドラクロワさんちの中庭

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写真のチカラ
オルセーコード:61-66

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冬の情景

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2009年、エッフェル塔、New Year's Resolution

sideways

Instant London

2009年1月~2月、真冬のロンドン。
始めはパリが恋しかったけれど、
次第に愛着がわいてきた。
Beautiful Losersの街へのオマージュです。

Art of Mobility

最初の目的地が、次の出発地。
パリを脱出して、ヨーロッパ各都市へ。
現在、鋭意プランニング中。

La La La radio

Inter FM/76.1
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ときどき、海外支局やってます。

Fe & Ca Inc.

所属する制作会社です。

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